農業経営Tips!

法人化のメリット・デメリット

現在、酪農業界は乳価も高く、個体販売価格も近年稀に見る金額で取引され、バブル経済さながらの情勢が続いています。また、いま注目されている「畜産クラスター事業」では、法人化という要件は撤廃されますが、生産規模を拡大し企業的経営をイメージする場合、やはり法人化は視野に入れておく必要があります。

今回は、法人化することによるメリットとデメリットについて、代表的なものをご紹介いたします。

▼法人化のメリット
①節税効果
個人事業者で多額の所得税を納めている方であれば、誰もが一度は考えるのではないでしょうか。節税の一番のポイントは、社長に給与を支払うことが出来る点です。今まで、事業主に集中していた所得を法人とで所得を分散することで、所得の税率を下げることにつながり、世帯全般における税負担が軽くなります。これは、日本の所得税(法人税)の仕組みとして、所得が高い方に多額の税額がかかる仕組みだからです。

②繰越欠損金の年数
個人事業者、法人とも当年所得がマイナスとなった際には、次年度以降に繰り越すことが可能です。その繰り越し可能な年数は、個人事業者は3年間なのに対し、法人では10年間となります。

③退職金の支給
個人事業者の場合は本人若しくは家族(専従者)への退職金は支払うことが出来ませんでしたが、法人では社長や家族(役員、従業員)に対して退職金の支払いが可能です。現在の税制では退職金は税額的に優遇されているので、上手に活用することで税負担を軽減することにもつながります。

④経営の合理化と明確化
個人事業者では経営と生活が混在してしまい、純粋な経営の状況を把握しにくいものです。これに対して法人では、社長はあくまで会社からの給与で個人の生活費を賄っていくこととなるので、経営と生活の分離がしやすく、経営状況の把握がしやすくなります。

⑤対外的な信用
特に、組合以外に民間の銀行との取引も考えている事業者にとっては、大きいメリットとなります。

▼法人化のデメリット
①社会保険への加入
個人事業で支払っていた国保税・国民年金に比べ、厚生年金は将来受け取れる年金は増えるものの、健康保険・厚生年金は相当な金額となってしまいます。

しかし、社会保険未加入の農業法人には、社会保険事務所も厳しく加入を指導しており、ほぼ強制的に手続きを進めていくようなので、外部雇用者がいる・いないに関わらず、加入を前提に法人化は検討すべきです。

ちなみに、社会保険の負担は給与の金額をもとに算定されるため、法人化した際には社会保険料まで考慮した給与の算定が必要です。今まで加入していた部分は将来的には受給できますが、社会保険加入により農業者年金には加入出来なくなるので注意しましょう。

②青色申告特別控除
法人にはそのような制度はありませんが、個人事業者では青色申告することにより、10万円、もしくは65万円の青色申告特別控除を所得から差し引くことが可能です。

③経理事務の増加
法人の場合、経理処理や税務申告は個人場業者に比べて複雑になります。また、税理士などの専門家に依頼している場合は、手数料が当然かかります。

④設立費用
会社形態(株式会社、合同会社等)により変わりますが、10 万~30万程度の設立費用の負担が発生します。

法人化に際しての一般的なメリット・デメリットは上記の通りですが、考え方や農場によって異なってくるので、法人化を検討する場合はメリット・デメリット双方をよく検討するといいでしょう。